「マデイラ100選」@六本木ヒルズ

ワイン通でも、「マデイラワイン」と聞いてピンとくる人はまだ、少ないかもしれない。ポルトガル領でありながら、むしろモロッコの先にある島、それがマデイラだ。

数十年前、ポルトガルを初めて訪れた時は、首都リスボンの寂れ具合に驚いたが、それ以上に驚いたのが「俺たちがジャポンを見つけてやったんだ!」と豪語する酔っ払いオヤジたちのセリフだった。

コロンブスの時代には、ヨーロッパからアメリカやインドへ渡るには船旅しかなかった。そんな中、マデイラは中継地として発展。ヨーロピアンにとって必要不可欠だったワインもまた、船旅の中で新しい熟成の形を得る。シェイクスピアにナポレオン、初代アメリカ大統領ワシントンら歴史に名を遺した数々の著名人に愛されたマデイラを、21世紀の今もまだ味わうことができるという驚きをまず知ってほしい。

昨夜は今年で2回目となる「マデイラ100選」@六本木ヒルズ。1850年(!)ヴィンテージの「ヴェルデーリョ」をはじめ、1800年代のマデイラが4アイテム、1900年代前半のマデイラも8アイテムと、100年以上熟成(!!)のマデイラをフリーテイスティングできるのに、会費はわずか6000円(しかも夜景と食事付き)ボトル単価6ケタのワインを惜しげもなく供出する木下インターナショナルの心意気に拍手を贈りたい!

マデイラワインの9割が料理用に使われる中、木下さんはずっと「飲用酒としてのマデイラ」の普及を目指し、さまざまな活動を展開してきた。銀座で手頃に(いや、ほぼ原価で?)マデイラが楽しめるワインバー「マデイラエントラーダ」もそうだし、マデイラを愛する全国のレストランやバーからなる「クラブマデイラ」の組織化も木下さんの功績だ。今では全国25店舗に広がったクラブマデイラは、ポルトガル業態にとどまらず、創作和食やフレンチビストロ、バーなど業態も多様。マデイラの食中酒としてのポテンシャルを感じさせるラインナップだ。

会では、クラブマデイラから14店舗がブース出展。品種別、熟成違い別、生産者別などの飲み比べやマデイラを使ったオリジナルカクテルなど、さまざまな形でマデイラワインの楽しみ方を提案した。

個人的に面白かったのは、やっぱり「バーベイト」。たとえば同じ品種で20年熟成と30年熟成を比べても、30年の方がむしろ若々しく弾けて、20年の方がしっとりと落ち着いていたりもする。「ドリヴェイラ」というオールドヴィンテージ得意のブランドよりむしろ、リベイロレアルの新しいマデイラに驚くのも一興。

ここまでモリタがいうのであれば一度飲んでみたいと思われた方はぜひ、銀座マデイラエントラーダへGOですぜ~銀座のワインバーとは思えないほど手頃にマデイラの奥深さを知ることができる場所。心強いナビゲーター佐藤さんもいらっしゃいます。

そして、ここでスイッチが入ったら、日本各地にあるクラブマデイラのお店へどうぞ!さまざまな料理とのマリアージュも、マデイラおたくとの談義も自由自在。ちなみにアジア初かつ唯一のマデイラ伝道師はすべて日本人。みなさまもぜひ、個人伝道師になってください!

Travino

旅とワインと、時々バー

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